GX・CN・気候変動の情報を発信していきます

GX/CN動向研究
earth

今年(2023年)の夏は大変な猛暑でした(筆者は関東圏に在住しています)。
この記事を投稿している9月下旬に入って、ようやく猛暑日を脱した感がありますが、予報によれば暑くなる日があと数回はあるとかないとか…。

ここまでくると、科学的根拠がなかろうが、確実に「昔より暑くなっている」ということを感じずにはいられない夏でした。

「地球温暖化」という言葉を初めて聞いた時期

筆者は1970年代前半の生まれです。小学校を卒業する前の頃ですから、1980年代に入ってすぐぐらいに、「地球温暖化」という言葉を知ったと記憶しています。
「このまま」だと地球上の氷が全て溶け、近い将来、人が生きていられない世界になってしまう。きっと僕や僕の家族、友だちは皆、溺れ死んでしまう!と、恐怖に怯えていた時期があったように思います。
何が恐怖だったのか?
自分だけの力では到底止めることはできない「地球規模」の圧倒的な危機が、少しずつ、そして確実に「近い将来」顕在化せんと忍び寄ってくるイメージが、私の中にある恐怖心を呼び起こしていたと記憶しています。

今まさに、その「近い将来」に差し掛かり、地球規模の危機が現実のものになろうとしています。
うぅ、怖い。

地球の気温、今昔

実際、どのくらい地球温暖化は進行しているのでしょうか?
思えば数年前、数十年前は、夏は暑いと言っても外で遊べるレベルでした(関東圏)。
「日射病」になってしまう子はいましたが、日照に関係なく(昼夜問わず)発症してしまう「熱中症」に一気に置き換わったのは、ここ10年くらいの間でしょうか。
熱中症になる可能性の高まりを示す指数が定義され「熱中症警戒アラート」が発報されるようにもなりました。

気候現象そのものに関しては「ゲリラ豪雨」や「線状降水帯」という言葉が聞かれるようになってきましたが、これらは地球温暖化によって引き起こされる頻度が高まった事象と言われています。
それ以外にも、海面上昇や永久凍土の溶解、熱帯低気圧の強大化など、気温上昇に起因した「気候変動」が、身近なところで様々な影響を及ぼし始め、その影響度合いも強力なものになっています。

ではまず、気温そのものに着目して、どのくらい温暖になってきたのか、気象庁さんが公開しているデータで探ってみたいと思います。

世界の年平均気温(偏差)の推移 を見ると、1890年からの平均気温の推移がわかります。
1960年〜1970年あたりはどちらかというと下降気味にも見えますがそれを超えると一転上昇傾向が強くなっていることが伺えます。

気象庁・世界の年平均気温偏差(気象庁HP掲載画像をリンク)

計測方法や条件、計測機器は「ずっと同じ」というわけでは無いと思われます。
近年の急上昇傾向が、測定技術の高度化によるものかも知れませんし、地球誕生以降の長い年月の中で、低温期と高温期を繰り返しているので、そのサイクルにおける単なる傾向という可能性もあります。
しかしながら、人類の経済活動(生産活動)が温室効果ガスを排出し続けていることは事実であり、研究者・専門家の方々による様々な仮説検証から「地球温暖化(あるいは気候変動)が人類の経済活動と関連している可能性は限りなく高い」という結論が導き出されています。

なお、上掲の世界の平均気温偏差(推移)のグラフ掲載ページには、北半球の方が、南半球より上昇傾向が強い(南半球は北半球と比較して緩やかである)ということが示されています。
人類の生活圏(地上)が比較的北半球側に偏っていることから、上記の結論・可能性を高めるデータとなっていると言えそうです。

もう少しだけ、身近なところではどうなっているの?を見るために、観測地点・東京における1970年〜2022年の年平均気温の推移もご紹介しておきます。
※こちらは気象庁さんの「過去の気象データ検索1」で取得したデータを使用して自作したものです。

東京の年平均気温の推移(1970年〜2022年)

このようにグラフで見ると、1970年代後半あたりで大きな変動を示した後、上昇下降を繰り返しながらも上昇傾向が見られます。
年平均であり、あくまで観測地点・東京のみのデータなので、その当時・その地域での体感を思い出そうとしてもピンとこないでしょうか…?

「いや、こんなグラフやデータじゃよく分からない!」という声も聞こえてきそうですが、何にしても観測史上最高と言われた今年の7月、8月(結局9月も今なお言われている…)の茹だるような暑さを身体で記憶している方が多いのではないでしょうか。

このセクションの最後として、気象庁と文科省が9月に発表した共同プレスリリースをご紹介します。
(回りくどい説明より、とにかく政府関連機関が発信する情報を見た方が早いですね!)
下記のリンク先から、政府機関として地球温暖化をどのように捉えているのか、公式な情報として知ることができます。
もちろん、これはほんの一部です。

【文部科学省との共同プレスリリース】令和5年夏の大雨および記録的な高温に地球温暖化が与えた影響に関する研究に取り組んでいます。―イベント・アトリビューションによる速報―

【共同プレスリリース】地球温暖化がさらに進行した場合、線状降水帯を含む極端降水は増加すると想定されます

環境問題から経済問題へ

さて、またさらに固く重い話になりますが、地球温暖化は、異常な気候現象がもたらす生態系への影響や海面上昇による生活圏の縮小や、異常気象による暮らしにくさといった生活影響などが顕著になるよりも前に、世界の経済活動を破壊してしまう可能性を秘めていることを認識しなくてはなりません。

ここで、スイス再保険会社(スイス・リー)が公開している2018年の保険補償金額の内訳データを下図に紹介します。

2018年・世界の保険補償金額・単位:億USD(スイス再保険会社のシグマ調査誌を基に加工)

2018年単年度のデータなので一時的な参考値ですが、「2018 年の保険損害額のうち 760 億米ドルは自然災害に起因する保険金であった」と報告されています。
知財権の関係からデータ・グラフは引用できませんが(別の機会で紹介したいと思います)、日本で甚大な被害をもたらした地震が発生した2011年でさえも、「保険補償額は気象災害によるものの方が圧倒的に多かった」とされています。
今後その傾向がより強くなり、保険業界の支払い能力を超える甚大被害が同時多発的に発生した場合のことを考えると、社会経済システムの崩壊という未曾有の危機が迫っていると認識せざるを得ません。
結果、気象現象そのものによる肉体的・精神的な苦痛よりも先に、世界の経済システムが破綻し、我々の生活、強いては世界の秩序が大混乱し、生活が崩壊していくことの方が危惧されます。

CN、GX関連の情報を発信します

このように、社会システムの崩壊を招かないように、世界の金融機関を始め、地球温暖化は是が非でも食い止めなければならず、各国の企業にも、CSR経営の一環として「環境経営」が取り沙汰されるようになっています。
公的機関、民間企業問わず、そして私たち一人ひとりが、地球温暖化に対峙し、気候変動を食い止めるための挑戦をすぐにでも始めなければ…という状況であることは確実な事のようです。


本投稿で紹介した内容は、本当に氷山の一角、すでに環境経営に関わられている方にはかなり退屈なものだったかも知れません。今後投稿していく内容の さわり としてご理解いただけたらと思います。

じわじわと苦しい気温上昇に苦しめられるという辛い内容ばかりだと、とにかくお仕事を進めるのも辛いので、時には明るい未来につながる情報も交えながら、GX(Green Transformation)やCN(Carbon Neutral)といったカテゴリで研究したこと、学んだことを発信…というと烏滸がましいですが、このホームページで私見も交えて紹介していきたいと思います。

それから、実はこちらが本編?になるかも知れませんが、今後はCarbon Footprintデータの流通という局面で色々とIT/DX業界が盛り上がってくる(?)と思われますので、そういったことに関する情報も絡めて発信できればと考えています。

経営オペレーションを実践されている皆様にとって、ほんの少しでも有益な”ヒント”になれれば本当に嬉しく思います。(数打ちゃ当たる になれたら良いなと思ってます!)

これから、よろしくお願い申し上げます。

– Saito Lab –


脚注

  1. 気象庁・過去の気象データ検索(https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php ↩︎
タイトルとURLをコピーしました